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鏡を見ると、みけんにはマリアナ海溝ほど深いしわが寄っていた。イタリアの田舎町にあるようなバールで羽を休めたくなるのは、こんな気分の日だ。
よく磨かれたカウンターにひじを預け、名バリスタに声を掛けた。
―エスプレッソをくれないか。夜を溶かしたような濃厚な特製のローストを。それと「カンノーロ」だ。
カンノーロは、ロール状に揚げた生地に、ホイップした生クリームとリコッタチーズを詰めた素朴な菓子だ。サクサクした歯触りとなめらかなクリームの適度なコクと甘さはたとえようもなく奥深い。香り付けのリキュールが鼻をくすぐり、至福が身を包む。
―思い出すよ、シチリアの味だ。
すべて手作りなんです、と、バリスタは微笑した。伝統的なイタリア菓子に出合える店などそうはない。ドルチェ(お菓子)のある人生を望むすべての人に、扉は開かれている。甘い人生(ドルチェヴィータ)に、乾杯!
350円。1日限定10本。ほかにもパンナコッタやティラミスなど充実。
(神戸新聞夕刊掲載)
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