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新商品「ことぶきのぶどうぱん レーズンラスク」を手にする増成豊美さん=ベーカリーカフェコトブキ |
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最も人気の「ことぶきのぶどうぱん」 |
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昭和時代の寿屋 |
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ブドウの甘酸っぱさが味のアクセントになる「レーズンラスク」 |
播磨地域のスーパーなどでおなじみの「ことぶきのぶどうぱん」を手掛ける寿屋(姫路市広畑区末広町1)が今秋、全国展開に向けて動きだす。今年は創業80年の節目。新商品として、1日がかりで焼き上げる「レーズンラスク」が完成。3代目の増成豊美(ますなりとよみ)さん(60)は「ふんわりが売りのぶどうぱんが、カリッと仕上がった」と自信を見せる。
寿屋は増成さんの祖父が1940(昭和15)年、旧日本製鉄の広畑進出(現・日本製鉄瀬戸内製鉄所)に合わせて店を構えた。当時は和菓子や餅、ケーキも扱っていたようだが、60年に転機を迎える。アメリカから「カリフォルニアレーズン」の輸入が始まり、パン業界でレーズンの使用が推奨された。寿屋も含め、全国のパン店に「ブドウパン」が並んだという。
かつては製鉄所や広畑、夢前両中学校の購買部で販売し、卸売りは一部量販店のみだったが、10年ほど前に播磨の各スーパーに並ぶようになった。親しみやすいように商品名をすべてひらがなにし、アーモンドなど味の種類も増やしたが「売れる数はオーソドックスな『ぶどうぱん』が断トツ」という。「味は変わらないが、どんどん生地を柔らかくし、ふわふわの食感を追求しています」
近年、岡山で販売されるようになったが、パンは消費期限が短く、販路を広げるには限界があった。そこで目を付けたのが、人気があり日持ちもするラスクだった。「レーズン入りラスクは全国にもないんじゃないか」と増成さん。レーズンの水分をいかに飛ばすかが課題だったが、ラスクはカリッと、レーズンはもっちりとした食感を実現した。
アーモンドとシナモンの2種類をそろえ、今後、本格的に販売を始める。増成さんは「まずは土産物として全国展開できれば」と話す。
120グラム入り320円。JRはりま勝原駅前のベーカリーカフェコトブキ(姫路市勝原区熊見)などで販売。火曜と第3水曜定休。同店TEL079・237・5883
(2020年9月19日 神戸新聞掲載)
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