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バット、グラブ…こんがり1世紀 神戸名物「野球カステラ」守れ 職人高齢化、10店に減少

(左上から時計回りに)キャッチャーミット、バット、グラブ、ボール、キャッチャーマスク、インジケーター、野球帽=神戸市中央区割塚通7、「手焼き煎餅おおたに」

半世紀にわたって焼き続ける宇野定男さん=神戸市兵庫区下祇園町

野球カステラのルーツを調べる志方功一さん=神戸市役所

 野球帽、バット、グラブなどをかたどった「野球カステラ」。実は隠れた神戸名物として1世紀にわたる歴史を持つが、職人の高齢化で近年は店舗数が神戸市内で約10店まで減少。野球カステラを愛してやまない同市職員が存続の危機を救おうと、ルーツをたどるマニアックな調査に取り組んでいる。
 「ベビーカステラや野菜カステラもありますが、野球カステラの本場は神戸です」。神戸市つなぐ課特命係長の志方功一さん(42)が解説する。神戸土産「瓦せんべい」の店が、子ども向けのおやつとして焼いてきた歴史があり、市内で今も約10店が販売する。

▼歴史伝えるデザイン
 材料は小麦粉、砂糖、卵など瓦せんべいとほぼ同じ。一口サイズのユニークな形、ふわふわした食感、素朴な甘さが幅広い世代に愛される。店によって形や種類は異なり、ボール、グラブ、バット、キャッチャーマスクなどが定番だが、優勝旗や優勝トロフィーをそろえる店もある。
 「まずグラブに注目です」と志方さん。店によっては手を入れる部分にボタンが付いており、これは半世紀以上前の古いグラブの特徴という。「実はボタンの位置が実物のグラブと左右逆なんです。初期の焼き型でボタンの位置を間違えたまま各店に広がったのでしょう」
 次は、審判がボールカウントを確認する「インジケーター」。野球カステラはS(ストライク)とB(ボール)のダイヤルはあるが、O(アウト)がない。志方さんは、東京の野球殿堂博物館を訪れ、似たデザインの実物を発見。明治後期の早慶戦で使われた物だったという。

▼ベーブ・ルースのかばんも
 インジケーターによく似た「かばん」を焼く店もある。トランク型のかばんは野球と関係が薄いように思えるが、1934(昭和9)年、日米野球で来日したベーブ・ルースが使ったとされる旅行かばんがこのタイプだという。志方さんはインジケーターから派生したと考えており、「『野球の神様』の来日がきっかけになったのかも」。
 志方さんは、野球カステラと昔の野球用品を比べるためオークションサイトに小遣いをつぎ込み、「おおよそ大正期までの野球用品がルーツではないか」と考える。
 野球カステラの歴史は古く、神戸市中央区の「本高砂屋」は、21(大正10)年に「野球」を商標登録しており、その頃に野球カステラを扱っていた記録もある。現在、製造はしていないが、元町本店には昔の焼き型も飾られている。
 同市兵庫区の「久井堂」の店主宇野定男さん(76)は、同じく手焼き職人だった父に習い、50年以上焼いてきた。「50年前は瓦せんべいを焼く店が神戸に80店はあったが、すっかり減ったね」。瓦せんべいも売るが、野球カステラが1番人気だという。
 志方さんは「野球カステラを神戸ブランドにするお手伝いをし、地域振興に結び付けたい」と意気込んでいる。 

(2020年3月24日 神戸新聞掲載)

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